キスの理由

蛇足



「あの、ね…、その、二人に…あの…しょ、紹介したくって…」
 顔を真っ赤にしながらそう言う大好きな友達に、茂木と白石は思わず顔を見合わせた。
 その紹介とやらは、例の彼女を美味しく頂いちゃった憎き男のことだろうか?
 Hばかりで、あげくフェラまで強要しようとした、エロい大人の恋人とやらのことだろうか??
 思わず、茂木と白石の二人の眉間に皺が寄る。
 純粋無垢でキレイな友達。
 こっそり、二人で彼女の純真さを守ろうね、と「藤原拓海を守る会」を結成していたのはここだけの話。
 それがいつの間にか、不埒な男に食われちゃったと知って、茂木と白石の怒りと失望は計り知れない。
 あげく、男が体目当てと知ると…二人は気持ちを同じくして、拓海とその男を別れさせようと画策した。
 不安がる彼女に、「遊びだ」や「弄んでる」などの言葉を吹き込み、さらに不安を煽る。
 だが結果、何故か彼女は男とは別れず、あげく前よりラブラブな状態になってしまった。
 非常に不本意な結果だが、彼女が現在とても幸せそうなので我慢する。
 そして今、その彼女たちの敵とも言うべき男に会わせると言うのだろうか?
 茂木と白石は考えた。

『拓海くんが騙されてないか…品定めしてやる…』

 ギラリと目を輝かせ、二人は同じ決意で拓海の申し出に頷いた。
「うん。会いたい〜。拓海くんの噂のカレシ、すごい楽しみー!」
 一方は無邪気を装い。
 そしてもう一方は、
「うん。私も会いたいかも。だって藤原くん前よりキレイになったもんね。そうした彼に興味あるな」
 清楚を装い。
 そんな少女の仮面に騙され、真実の無垢な少女は嬉しそうに微笑んだ。
「良かった!涼介さんとのことで悩んでたときに、二人に相談に乗ってもらったって言ったら、涼介さんも二人に会いたいって」
 ニコ!と笑顔で告げられた言葉に、聡い二人の背中に悪寒が走る。

「何かね。二人にお礼がしたいって」

 ゾワリ…。
 幻聴だろうか。
 二人の耳に、「フフン」と鼻で笑う悪魔の声が聞こえるような気がするのは。
 そして後日。
 彼女たちは、あれは幻聴ではなかった事を知る……。



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