俺は目を開けた。
けれど、もうそこにいたのは「俺」ではない。
「啓介?」
「どうした、啓介?」
大好きな、大好きなパパとママ。
「にゃあ」
俺は鳴く。
今の、猫の意識だけの心で。
「にゃぁ、にゃ」
大好きなパパとママに伝えられるように、鳴く。
――あのね、けいすけはね、パパとママがだいすきだよ。
もう一人の「啓介」も。猫の「啓介」も。
だから、ずっと幸せなままでいてね。
それが、「啓介」の願いだから。
「おはよう、拓海」
「おはようございます」
「…どうした?ああ、指輪?すぐに慣れるよ」
「ふふ、嬉しくって、つい触っちゃうんですよ。
これで涼介さん、俺のものだって皆に堂々と自慢できますね」
「ああ、俺も拓海は俺のものだって堂々と宣言できるな」
「ねぇ、涼介さん…」
「何?」
「夢…見ませんでした?」
「……見たよ」
「啓介さん、出てきませんでした?」
「…出て…きたな。あいつ、全然変わってなかった」
「…うん。変わってなかった」
「ありがとう…って言ってたな」
「幸せになれ…って、言ってた…」
「幸せに…なろうな」
「…うん。啓介さんが応援してますもんね。ならなかったら、恨んで出てきそうだし」
「……だな」
二人が笑う。幸せそうに。
二人が幸せなら 俺は笑える。
だからどうか、いつまでも幸せに。そして微笑んでいて下さい。
HAPPY END
and
Merry Christmas
2006.12.22