呆然としたまま動かない少女の襟首を掴み、無理やり下腹部に押しやる。
眼前に迫った欲望に、少女の硬直が取れ暴れだした。
「…や!何?!」
涼介は舌打ちをする。
「…フェラチオも知らないのか」
残酷なケダモノの衝動。
「ふぇら…ちお?」
無知な少女の言葉に、ゾクゾクと愉悦が湧く。
穢す喜び。
それを生まれて初めて味わっている。
「俺のコレを……」
少女の手に自身の昂ぶったペニスを握りこませる。
「口で、嘗めたり擦ったりするんだ。それがフェラチオだ」
ゴクンと、少女の唾を飲み込む音が闇に響いた。
有無を言わさず、再び少女の首を下腹部に押しやると、観念したように少女が唇を開き、赤い舌を覗かせた。
涼介の咽喉も鳴る。
ピチャ…。
ゆっくりと、おそるおそる少女の舌が涼介の先端に触れる。
ピチャ…ピチャ…。
拙い舌の動き。迷いながらも涼介のを嘗める。
窺うように見つめてくる上目遣いの瞳。
白目が闇にも小さな星のように煌き涼介を射る。
涼介は呻き、そして深く息を吐いた。
「…そうだ。もっと…舌を全体に這わせて…」
手馴れた女のものとは比べ物にもならない愛撫だ。
けれど、涼介は過去最高と言っても良いくらいの快さを感じている。
少女の必死さが、その拙い舌からも、微かに震える指からも伝わる。
それが涼介の快楽中枢を刺激する。
直接的な刺激ではなく、深い、精神の領域の快楽。
涼介はそれに溺れ始めている。
「…ぅ、く……苦…」
コプリと溢れた涼介の先走りの液を嘗め取った少女が、その初めての苦さに咳き込んだ。
涼介は苦笑し、そして色を含んだ笑みを浮かべる。
「まぁ…慣れていないとキツいよな。どうする?止めるか?」
それは直感のようなものだった。
こう言えば少女がどんな行動に出るか?
涼介はきっとそれを本能で感じ取っていた。
涼介の言葉に、少女が驚き顔を上げ、そして勢い良く首を横に振る。
「や、止めない!」
負けず嫌い。
ジクリと、涼介の心に甘い棘の生えた茨が絡む。
「無理するな」
また少女が首を激しく振り、そして勢いを付け涼介のを口に含んだ。
嘗めるではなく、すっぽりと口に咥える。
しかし唐突なその行動は、少女を咽させただけだった。
また咳き込んだ少女に、涼介の全身が震える。
――似ている。
そう、思った。
大人しそうで、何も知らないのに、けれど負けず嫌いで無謀なところ。
あの、少年に。
「…え?……何?」
少女の手の中のそれが膨らむ。
なかなか露わにすることが許されない感情よりも、そこはうんざりするほどに素直だ。
涼介は少女の首を掴み、少女の指ごと激しくそこを扱き立てた。
ほどなく、熱い本流が下腹部に走り、痙攣が起きる。
「……やァ…っ!」
ビシャ、と少女の顔を涼介の迸りが穢した。
墜落するかのような昂ぶった衝動が去った後に、蘇るのは気まずさだ。
何も知らない少女に自分が仕出かした事に罪悪感が湧く。
「や…何?…目、いた…」
安っぽいアダルトビデオのように。
女に顔射を強要させるなど…涼介の今までには有り得なかったこと。
少女は突然のことに戸惑い、指で拭おうとして、その感触にまた戸惑い涙目になっている。
「…指で擦るな。顔、上げて?」
涼介は傍らの鏡台の上にあったティッシュを数枚取り、少女の穢れを拭った。
大人しく、少女は涼介の指に任せるままになっている。
「…すまない。我慢が出来なかった」
目を閉じ、ほんの少し顔を上げ、涼介の指に預けたままの少女の瞳がゆっくりと開く。
間近で煌く大きな瞳。
真っ直ぐで、純粋で。
その瞳に穢れはなく、そして涼介を見つめたまま、少女はほんのりと微笑んだ。
「……よかった…」
一瞬、耳を疑った。
「え?」
少女は恥じらったように涼介の指を離れ、俯く。
「……よかった……やさしい人で…」
血が、ざわめく。
再び獣が咆哮を上げる。
やさしく、など無かった。
むしろ無体を強要したとの自覚さえあるのに。
この、少女は……。
「あ、の……?」
もう少女の声は聞こえない。
耳には激しく響く己の鼓動。
早く、大きく鳴り響く。
少女の顎を掴み、持ち上げる。
きょとんとしたままの顔が見える。
うっすら開いた唇。
その奥に見える白い歯。朱い舌。
誘われるように涼介はその唇に口付け、そして舌を絡めた。
舌先に、自身の名残である苦さを感じる。
なのに、涼介は少女の口内を甘いと感じた。
甘さしか、感じなかった。
無我夢中で少女の唇を貪り、そして少女の身体を再び組み敷いた。
柔らかな少女の太ももに擦り付けた己の下腹部は、先ほど放ったばかりとは思えないほどに熱く昂ぶっていた。
常に冷静であった精神はもう焼き切れている。
理性は消えた。
獣の本能だけが涼介を支配する。
目の前の柔らかな肌に吸い付き、齧り、そして少女の細い足を割り開き、……突き入れた。
少女の悲鳴が、涼介の身体の下から聞こえたような気がしたが…もう涼介の耳には届かなかった。