なりきり拓海のD日記

act.1


 3月某日 天気 晴れ

 今日、Dのメンバーの顔合わせと親睦会があった。
 居酒屋みたいなところで、ご飯やお酒を(俺は飲んでは駄目だったけど、他の人は飲んでた)飲みながらメンバーを紹介された。
 みんな元レッドサンズのメンバーが多いとかで、俺は高橋さんたち以外はよく分からなかった。
 ハチロクの専属メカニックだと紹介された松本さんは、親父に似て目が細かった。なんだか安心した。良かった。
 高橋さんたちに名前で呼べと言われた。年上の人を名前で呼ぶのは失礼じゃないかなと思ったので、啓介さんだけ名前で呼んで、涼介さんは高橋さんでいいだろうと思ってそう呼んだら、なぜかものすごく啓介さんが青い顔をしていた。
「頼むからアニキのことを名前で呼んでやってくれ。俺はどーでもいいから!」
 とお願いされた。
「そ、そうだぞ、藤原。もう俺たちは仲間なんだから、名前で呼ぶのは当然じゃないか」
 と、外報係だって言う人も、なぜか声を震わせながら言っていた。
 俺の横にいた松本さんを見たら、親父に良く似た細い目で、
「それがフレンドリーってもんじゃないかな」
 と言っていたので、「涼介さん」と呼んでみた。なぜかみんな泣いていた。特に涼介さんは身体まで震わせていた。どうしたのかと思って聞いてみたら、
「…ハッ、すまない。あまりの感動に、我を忘れてしまった」
 と言っていた。カッコいい人は、冗談言っててもカッコいいんだなと思った。けどあまり面白くなかった。でもカッコいいから許せた。
 その後、カラオケに行かされた。俺はカラオケは得意じゃないので、嫌だったけど親睦会だと言われたのと、「駄目か?藤原?」と涼介さんにじっと見つめられてしまったら、なぜか勝手に頷いていた。どうやらあの人は魔法が使えるらしい。カッコいい人はすごいんだなと思った。
 そしてどうしてかみんな歌わず、俺に「ラムちゃんのラブソングを歌え」とか「一休さんの主題歌はいいんじゃないか?」と歌わせようとした。困った。
 俺が「その歌どっちも知りません」と言ったら、みんな驚いていた。
「お前は『うる★やつら』を見たことがないのか?!」
 と啓介さんに怒られたけど、本当に見たことがなかったので「はい」と答えたら、今度はみんな固まっていた。
 そしてアニメの話になって、他の人たちの言っているものは俺はどれも知らず、唯一知っているのは「ドラゴ★ボール」だったけど、俺が知ってるのは「Z」になってからだって言ったら、みんな涙を浮かべていた。「ジェネレーションギャップ」とかって言っていた。そういや前に、池谷先輩たちもイツキ相手に似たようなことを言っていたのを思い出した。あの時イツキは池谷先輩たちに、
「それ、オッサンの証拠っすねー」
 と笑ってた。正直、外報係の人はオッサンくさいけど、涼介さんはオッサンくさくないよなーと思ってたら、一番固まってたのは涼介さんだった。いつまでたっても回復しないので、啓介さんが、
「藤原、何でもいいからお前の知ってる歌で、好きだの愛してるだの連発する歌を、どうかアニキに歌ってやってくれ!」
 と頼まれた。ショック療法だろうか?
 どうにか思い出して、俺が小学校の頃に流行った、広★涼子の『MajiでKoiする五秒前』って、よくイツキが歌ってた歌を歌ってみた。
 そしたら途端に涼介さんが復活した。よくわかんないけど、やたらとエロい顔でニコニコ笑って俺を見ていたので、なんだか照れた。
 歌い終わったら、なぜかみんな俯いて鼻を押さえていた。悪臭がするんだろうか?
 顔を上げてニコニコしてたのは涼介さんだけだった。
 あんまりみんな変だったので、涼介さんに、
「俺、やっぱおかしかったですか?気持ち悪いっスよね、こんな男が、好きだの連発するカワイイ系歌うのって」
 と言ったら、やたらと力の入った涼介さんに、
「それは違うぞ、藤原!みんなお前のあまりの可愛らしさに×××が勃っているんだ!」
 と真顔で下ネタを言われた。この人はいったいどうしたんだろう?と思っていたら、よく見たら、お酒のグラスが机の上に並べられていた。どうやら酔っているらしかった。
 それからみんな、妙にテンション高くなって、お酒は飲むは歌うはでついていけなかった。俺はずっとウーロン茶を飲んでいた。大人って恐いな、って思った。お酒を飲むとこんなに変わるんだとも思った。
 真面目そうだった松本さんは、なぜか上半身裸になって、「マッスルマッスル」って変な踊りをステージで他の人たちと踊っていて、外報係の人は、部屋の隅っこで鬱になっていた。
 啓介さんはグラス片手に熱く、黒い人…たしか中村さんだった。その人相手に、「明るく楽しい熟練オ★ニ―講座」ってのを語ってた。少し俺も参考になった。
 涼介さんはずっとニコニコしながら、俺の隣に座ってずっと俺の髪の毛や耳や頬や背中や尻や太ももだとかを触ってた。
「触ってて楽しいですか?」
 と聞いたら、ものっすっごくエロい顔で、
「ああ、楽しいよ」
 と、しかも耳元で囁かれた。大人ってすごいなと思った。
 この人はきっと酔ったら触り魔になる人なんだなと思った。もしこれが俺じゃなくて、あの栃木の須藤さんとかでも触るのかなと思ったら、俺も楽しくなった。
 ためしに俺も涼介さんを触ってみたら、意外と楽しかった。
 涼介さんの髪の毛は、フワフワ猫っ毛の俺と違って、サラサラの直毛だったし、胸板はがっしりしてるし、腕は筋肉質だし、これが大人の身体なんだなー、とベタベタ触っていたら、なぜかみんなこちらを見ていて、口を開けて呆然としていた。
 俺はちょっと調子に乗りすぎたかな、と思って自分を見たら、いつの間にか涼介さんの膝の上に座っていた。この人はやっぱり魔法が使えるようだ。俺は瞬間移動をしていた。慌てて涼介さんから離れたら、涼介さんは「チッ!いいところで…」と呟いていたような気がするけど、たぶん気のせいだ。
その後、みんな何故か涼介さんと俺から目を逸らし、結局最後まで目を合わせてくれなかった。俺があんまり涼介さんにベタベタしすぎて怒らせてしまったんだろうかと不安になった。でも涼介さんは俺の尻を触りながら、
「気を使ってるんだ」
 と言っていた。酔っ払いの人の言動はよく分からない。
「藤原が悪いんじゃないから、気にしなくてもいいよ」
 と、パンツ一枚になった(意外とブリーフだった)松本さんに言われた。体だけ見ていたら説得力がないんだけど、顔は素面のときと一緒で真面目なままだった。やっぱり目は細かった。何となくだけど納得した。あの目がどうやら悪いらしい。
 そんなこんなで、初めてのミーティング兼、親睦会とやらは終わった。
 後で茂木から電話があったので、その事を話したら、
「拓海くん、気を付けたほうがいいよ?意外と変態って、いっぱいいるんだから」
 と言っていた。
 変態と言うと、俺が小さい頃によくいた素っ裸でチ★コ勃たせて見せようとする人とか、触らせようとする人のことだろうか。そんな人はいなかったけど、言い返すのが面倒だったので、とりあえず「分かった」と言っておくと、茂木は何だか安心したみたいだった。
 チ★コと言えば、そういや涼介さんは俺を触りながらどうも★っていたみたいだった。どうしたんですか?と聞くわけにもいかず、じっと股間ばかり見ていたら、
「見たい?」
 と昔よく変態な人に言われた言葉を言われた。
 変態の人のは見たいとは思わないけど、涼介さんのは見たいかも知れないと思った。きっと大人なサイズなんだろうな。でも「見たいです」と答えるわけにもいかず、困っていたら、涼介さんはまた耳元で、
「藤原にならいつだって見せてやるよ」
 とその場でファスナーを下ろしそうになって、慌てた外報係の人と啓介さんに止められていた。これが酔っ払いってものなのか、と感心した。
 おっかないかなって思った涼介さんや他の人たちもなんだか気さくだった。安心した。
 Dに入って良かったと思った。これからの活動が楽しみだ。



2005.7.16

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