BOSS-PAN
act.1
act.2
act.3
act.4
act.5
act.6
top
番外 馴れ初め
act.3 脈動
-変態値-
高橋涼介 ★★★★☆☆☆☆☆☆ 【なかなか】
驚愕の事実にから逃避するように、朝まで峠を攻め、疲れた頭と体を抱えて帰宅した啓介が見たのは、そのまま意識障害でぶっ倒れそうな現実だった。
「はい。拓海。あーん」
「あーん」
「おいしい?」
「うん。すっごくおいしい。おにいちゃんもたべる?はい、あーん」
「あーん…」
リビングのテーブルで、まるで新婚バカップルのような光景。
その登場人物は、ドラマの中の美男美女ではなく、なぜか見知った兄と、そしてライバルと目している少年、拓海だ。
啓介の勘違いでなければ、確実に彼等の新密度が昨日よりもアップしている…。
「ああ、啓介、お帰り。ただいまをちゃんと言わないと駄目だろう」
…これを見てそんな普通にただいまなんて言える奴がいたなら見てみたいよ。
「…えーと…けいすけおにいちゃん?」
首をかしげ、いつものぼんやりとした眼差しとは微妙に違う、子供特有のキラキラした純粋な目。それを向けられた啓介は、一瞬動揺した。
「けいすけおにいちゃん、おかえりなさい」
ほわ、と柔らかに微笑むその顔は、通常の彼ならば絶対にしないような表情で、啓介はほんのり「かわいいじゃねぇか…」とさすが涼介と兄弟、と言うようなことを思った。
「拓海は偉いな。それに比べて啓介は…ただいまも言えないなんて…」
しみじみ、自分の過去の失敗作を嘆く涼介。それにムッした啓介は、大きな声で「ただいま!」と叫んだ。
だがその大声に拓海が脅えた。
「けいすけおにいちゃん…こわい…」
「駄目じゃないか、啓介。拓海を怖がらせるなんて!」
…いったいどうしろってんだ。
ただでさえ疲れているというのに、この現実。そして明らかに変な兄。
ふてくされながらも啓介は、彼等がいるリビングの椅子に腰掛け、
「アニキ、俺にもメシ」
と言ったのだが、兄の返事は無情なものだった。
「自分で用意しろ。何で俺がお前の世話なんかしてやらなきゃいけないんだ」
ものすごく冷たい眼差し。以前なら兄は、こんな時「仕方ないな」と用意してくれたものなのだが。
…こいつか?こいつのせいなんだな?!
啓介の心の中に、新しくできた弟に、母親を取られた子供のような嫉妬心が湧いた。
「何だよ、いつもやってくれんじゃん。藤原は良くて何で俺は駄目なんだよ」
ぶすっとした声で抗議するのだが兄の答えはやはり無情。
「拓海は可愛いが、お前は可愛くない!」
…二十歳越えて可愛かったら問題だろうが?!
険悪な雰囲気に、拓海は泣きそうに顔を歪め、そしてじっと啓介を見つめながら自分が今食べていた食事を差し出した。
「あ、何だ?」
「…けいすけおにいちゃんにたくみのあげるの」
「拓海?」
「だからなかおなりなの…」
うるうると瞳を潤ませ、悲しそうに高橋兄弟を見つめる拓海の姿に、兄弟は同時に「キューン」となった。
啓介は自分のつまらない嫉妬心を恥じたし、涼介は…。
「拓海!」
感動のあまり拓海の体を抱きしめた。
「ああ、本当に拓海は可愛いな。どうしてこんなに可愛いんだろう?犯罪的じゃねぇか!」
…いや、犯罪なのはアナタの行動のほうです…。
やけに興奮しまくる兄に、啓介はそんなツッコミをいれることが出来なかった。
そのまま押し倒し、ベロチューでもしそうな勢いの涼介を止めたのは、啓介でも拓海でもなく、無機質に響く携帯電話のベルの音だった。
啓介の携帯ではない。彼のはしっかりと流行の曲が着メロで設定されてある。
普通のベル音。それは涼介の携帯の、しかも大学関係者からによるもの。
「チッ、いいとこで…」
何がいいところだったのか…あまり追求したくない言葉を残し、涼介はリビングのテーブルを立った。
残されたのは子供な拓海と啓介の二人きり。
「けいすけおにいちゃん。ごはんたべる?」
「ん、ああ、いいや。お前がガキなんだからしっかり食っとかないと大きくなれねーぞ。俺はもう大きいから、これ以上食う必要ねぇからな」
「…たくみ、大きいもん」
ムッと唇を尖らせて、そっぽを向く拓海の姿に、啓介はそういや大人の拓海も、同じようにすぐに拗ねていたことを思い出す。子供になったって言っても、大してそう変わってないのかもな。そう思った。
そんな事を考えている間に、涼介が電話を終えて戻ってきた。だがその表情は苦々しいもので、啓介は電話の内容が涼介にとって喜ばしくないものであったのだろう事を悟った。
啓介の観察力は正しかった。拓海の隣に座った涼介は、ハァと大きく溜息をつき、そして言った。
「…実は…どうしても抜けられない用事が出来てしまった。今から大学に行かねばならない」
苦みばしった顔。その顔に、拓海が不思議そうに涼介をのぞきこんだ。
「おにいちゃん。こまってるの?」
「…ああ。拓海を置いてはいけないからな。だが…」
フゥ、と吐息ともに涼介はうなだれた。
「おにいちゃん。たくみだいじょうぶ」
「え?」
「おにいちゃん。…うーんと、だいがく?いってもいいよ。たくみだいじょうぶ」
「でも、拓海一人では無理だろう?お留守番するんだぞ?」
「…だいじょうぶ」
寂しそうな拓海の顔。全然大丈夫じゃないのはその態度から分かるのだが、拓海は必死に「大丈夫」と言い続ける。
…やっぱ頑固だ。今とあんまり変わらねーじゃんか。啓介はそう思った。そして拓海の頑張りを助ける発言を彼はした。
「アニキ、行って来いよ。俺がコイツ見てるからさ」
「…啓介が?」
「行かねーとヤバいような事なんだろ?」
「…ヤバいと言うか…まぁ、そうだな」
「おにいちゃん。たくみだいじょうぶ」
「コイツもこう言ってるしさ。大丈夫だろ」
涼介は啓介の言葉に、しばし考え込んでいる様子だったが、「仕方ない」と諦めの溜息を吐いた。
「出来るだけすぐに戻ってくる。それまで頼めるか?」
「ああ、分かった」
「拓海も、もし困ったことがあったら啓介に言いなさい。いないよりはマシだろうから」
…それが面倒見てやろうって人間に言う言葉か。しかし涼介にはそんな啓介の非難の眼差しも気付かず、視線は拓海一直線。
「だいじょうぶ。えとね、おトイレはすわるところでするし、ごはんはレンジでチンする」
「そう。拓海は賢いな」
頭を撫でられ、拓海はほんのり笑顔になるが、
「じゃ、行ってくる。すぐに帰ってくるから」
と涼介が玄関に向かった瞬間、泣き出しそうに顔を歪めた。だが、
「……いってらっしゃい」
泣かず、気丈に手を振り彼を見送った。
啓介はそんな我の強さは子供になった今でも変わらないんだなと感心した。
「そんな泣きそうな顔するぐらいなんだったら、行かないでって言えばいいだろが」
「だめ。めいわくになるの。だからたくみ、だいじょうぶ」
ふるふるとびっしり目に涙を溜めながらそう言う拓海の姿は、大人の体でも十分に可愛い。確かにこれだけ可愛かったら、兄も世話していて楽しいんだろうなと啓介は理解を示した。
が。
「……おい」
「………」
「何でずっとひっついてくるんだよ」
「………」
「お前はストーカーか?!ちょっと物取ってくるだけだろうが!大人しくそこに座って待ってろ!」
「…だってこわいもん」
「あ?」
「ここしらないおうちだもん。たくみ、ひとりになるのこわい…」
子供の世話。
それがどんなに大変なことか、弟気質でまだまだ子供っぽいところを多く残す啓介には理解できていなかったのだ。
そして、子供な拓海を子供っぽい啓介が面倒を見る。
その事実は、当然といえば当然の結果を生んだ…。
大学を足早に後にし、涼介はFCのキーを回した。唸るエンジン。いつもならもう少し暖まるまで待つのだが、今日はすぐにアクセルを踏み駐車場を飛び出した。
「…もう二時間か…チッ、くだらない事で呼び出しやがって…」
上品そうな顔には似つかわしくない、乱暴な言葉使いで悪態を吐く。
そう言っても構わないくらいに、今回の呼び出しは涼介にとって好ましからざるものであったのだ。
呼び出した相手は涼介が通う学部の教授。学内でも有力な権威を持つ一人でもある。
その教授が一介の学生でしかない涼介を呼び出し、告げたのは米国系某企業との提携による研究の統括を涼介に打診するというものだった。
涼介は自分が優秀な人間であることを心得ているし、当然だとの思いもある。それに見合うだけの努力を自分は惜しまずしてきているのだから。
だが今回の打診はそんな自分への評価ではない。明らかにスケープゴートだ。
なぜ自分のような、優秀であるとは言え博士号も持たず、医師免許ですら持たないただの学生に打診してきたのか。
それはつまり、某企業との提携こそアンダーグラウンドな契約であるからなのだろう。研究内容について、まだはっきりとした内容は聞いてはいないが、軽く聞いただけでもそれが違法に近いものであることが分かった。某企業の在する国に於いては間違いなく法律違反だ。
だから某企業はまだ法制定があやふやな日本に狙いをつけ、研究の申し入れをしてきたのだろう。
おそらく、事態が何らかによって表ざたとなり問題とされた場合、弾劾されるのは研究の責任者となっている涼介一人となる仕組みだ。
世間知らずの馬鹿じゃあるまいし、そんなハイリスクな話に頷けるはずも無い。だがかといってすぐに蹴ってしまえるなら簡単なのだろうが、涼介には断れない理由があった。
その話を持ちかけてきた某教授に逆らう、それはつまり自分の未来を潰すことになる。さらに、その研究を引き受けることによって、貰う報酬金額も魅力的なものだった。Dを始めたことで、資金はいくらあっても足りないと言う事はない。むしろ咽喉から手が出るほど欲しい金額だ。
金。
大学側も、非合法な研究に加担する理由も金だ。
国立とは言え地方の一大学。国が大学側に支給する運営資金は決まっており、しかもその資金の大半は、国立の最高峰とされる某T大学に割り当てられ、地方大学はT大のお零れのような金額で満足しなければいけない。そのおかげで地方大学は慢性的な資金不足に陥っているところが概ねだ。その為、大学側も豊富な資金を提供する企業の研究は願ってもないことなのだ。たとえそれが非合法なものであっても。(※この作品はフィクションです!!)
しがらみと、金と。
涼介は苛立ちのままにアクセルを踏んだ。まるで涼介の心の中を代弁するように咆哮を上げるエンジン。乱暴な運転にFCの車体がぶれる。
世の中を上手く渡っていくためには、泥に塗れることが必要なことぐらい分かっている。他人を陥れ、ずるく立ち回ることが要領の良い生き方なのだとも分かっている。その覚悟も自分にはある。ずっと、純粋なままでいたわけではない。今までの人生の中で、人に恨まれるような事も何度かあった。
だが。
時折、ふと自分の醜さに気付かされ、反吐が出そうな瞬間がある。
今がそうだ。
金と欲望。権威と言うしがらみに挟まれて、身動きの出来ない自分。
そんな自分が情けなく、また哀れでもある。
溜息を吐き、陰鬱になっていく心に、不意に思い浮かんだのは家で待っている存在。
拓海だ。
純粋な眼差しの、欲得なく無条件に自分を慕う子供。
『だいじょうぶ』
寂しさを堪え、自分のために平気な振りで心を殺す。
今頃、家で何をしているだろうか?泣いてはいないだろうか?
『おにいちゃん』
自分を信じて止まない柔らかな声。そして想い。
拓海のことを思うと、先ほどまでの暗かった気持ちが晴れていくようだった。
…単純だな。こんなに簡単に気持ちが楽になるなんて。
自嘲の笑みを零しながら、それでもそんな自分に嬉しさを感じつつ、涼介は先ほどまでとは違うアクセルワークで彗星のごとくFCを走らせた。
「待ってろよ、拓海。今すぐ帰るから」
脳裏にはもう教授の顔も、企業の研究の話題も何もない。
早く帰宅した自分を、嬉しそうに見上げながら微笑む拓海の顔だけがあった。
そして。
その想い通りに予定よりも早く涼介は帰宅した。
急いた気持ちで玄関の扉を開き、そして、
「拓海、今帰ったよ!」
リビングの扉を開いた彼は、そこで思いもかけないものを目撃した。
「いやぁ、おにいちゃん、たすけてー!」
泣き叫ぶ拓海。
その上から圧し掛かる啓介。
「うるせぇ、とっとと見せやがれ!!」
そして啓介の手は、何故か拓海のハーフパンツの腰部分にかかっている。
その構図は正しく、嫌がる少年を無理に襲う変質者の図。
もちろん涼介はそう脳内で変換した。
ゴウッと怒りの炎は燃え上がり、憤怒の表情で拓海の上に覆いかぶさる啓介の、その立ち上げた髪の毛の左右のもみあげ部分をつまみ思い切り引っ張った。これが痛いことを過去の啓介へのお仕置きでよく知っている涼介だ。
「…いってぇ!!」
今回は怒りの度合いが強いので、ブチブチと多く毛が抜けたようだが。
痛みに、啓介はゴロゴロとその場でもだえ苦しんだ。その隙に、涼介は乱れた服装の拓海を抱え起こし抱きしめた。
「拓海、大丈夫か?!」
「…あ、お、おにいちゃーん」
きゅうっと自分にしがみつく体。涼介は荒れていた心に凪いでくるのを感じた。
「アニキ、いきなり何するんだよ!」
しかし啓介の叫びにより、またも怒り再燃。
「…何するってのは俺のセリフだな…啓介、お前、拓海に何してた?」
兄の今まで見たことがないくらいの怒りに、啓介は怯んだ。
「な、何って…」
「言えない事か?」
「…い、言えないって…っつーか、そいつがあんまりムカつくこと言うからさ!だから、その…」
「…拓海を襲った、と…」
「ち、ちげーよ、そうじゃなくて…」
「そうだろ?お前は紛れもなくこの拓海の下半身をむき出しにしようと目論んでいた。啓介。それは犯罪行為なんだぞ」
「ハァ?ってか…アニキ、別に俺はそんなつもりじゃなくて」
「じゃあ、どんなつもりだ?」
「…あーと、その…」
何やら口ごもる啓介。言えない何かがあるようだ。
…あやしい…。
過去ヨーロッパで起こった異端審問の裁判官のような心情の涼介にとって、そんな啓介の行動は疑わしい、などと言うファジーなものではなく、もう『有罪決定!』なものだった。
そんな涼介の服の端を引っ張る存在。拓海だ。
「…拓海、どうした?」
何やら拓海の目はうるうるして、もの言いたげに涼介を見つめている。
「あのね、たくみもわるいの?」
…悪いって…もしかして、お前が誘ったのか?!!
涼介の思考が…かなり普通では無くなってきている。だがまだ本人は気付かない。
「けいすけおにいちゃんのね、おトイレにたくみさびしかったからついていったの」
…啓介のトイレに付いていっただと?!それは確かに、「その気があるの?」と言わんばかりじゃないか!!
「そしたらね、けいすけおにいちゃんのね、へんだったから、たくみいったの」
…ん?変??
「どうしてけいすけおにいちゃんのおちんちんは、フランクフルトみたいなの?って」
…フランクフルト…。
「そしたらね、けいすけおにいちゃん、おこっちゃって、おまえのもみせろ、どうせポークビッツなんだろ!っていって、たくみのぬがそうとしたの」
…ポークビッツ…。
ポークビッツ…だと?!
涼介は啓介に向き直った。そして言った。
「失礼な事を言うな、啓介!拓海のはポークビッツじゃないぞ!!あえて言うなら皮なしウインナーだ!!」
フランクフルトだと?まだいいじゃねぇか。俺なんかかりんとうだぞ?!…とはさすがに言わなかったが。
「………」
暫くの沈黙の後に啓介が言った。
「……あ、アニキ…藤原の…見たのかよ?」
その質問に、涼介は自慢げにフフンと鼻を鳴らし言った。
「ああ。風呂にも一緒に入ったし、拓海がトイレする時には俺がおちんちんを支えてあげたからな!」
…さ、支え…。
そこで啓介の思考は停止した。
寝不足もあったのだろう。
その答えを聞いた瞬間、啓介はバタリとその場に倒れて、動かなくなってしまった。
「けいすけおにいちゃん、ねむちゃったの?」
「ああ。そうだよ」
「でも、おめめあいてるよ?」
「これはね、白目を剥いていると言うんだよ。ほら、目の中真っ白で、黒い部分がないだろう」
「あ、ほんとうだ」
「これは気絶と言って、眠っていることの一種だ。だから安心して眠らせてあげようね」
「うん」
そして。
むぎゅ、としっかり涼介に踏まれながらも気を失った啓介は、リビングの床で一夜を明かした。
自室に戻り、ベッドの上で拓海の体を抱きしめながら、まだ涼介の怒りは残っていた。
「拓海、恐かっただろう?一人にしてごめんね」
「ううん、だいじょうぶ。おにいちゃんかえってきてくれたもん」
「拓海…」
…ああ、本当に可愛いな。この体も子供ではないが、抱き心地がよくて最高だぜ。それにしても啓介の奴…悪ふざけとは言え俺の拓海を押し倒し、パンツを脱がそうとするなんて…後でもっとひどい目に合わせてやろう…フフフ…ん?…って、ちょっと待て、俺の拓海って何だ?俺の拓海って何だよ、俺?!
「おにいちゃん?」
突然気付いた不穏な自分の思考に、涼介はしばし呆然とした。
「…あ、ああ、ごめん。何でもないよ。しばらく一緒にいられる時間は作ったから、明日からはどこにも行かないよ」
「ほんと!」
「ああ」
「うれしい、おにいちゃん!」
ぎゅうっと抱きついてくる体。ふわふわの色素の薄い茶色の髪が頬に当たる。
その腰つきはしっかりと肉が付いているとは言えしなやかで、抱きしめる涼介を妙な心地にさせていた。
…何か…女と抱き合ってるみたいだな…。
この肌の触り心地、頬のすべらかさ。腰のしなり…。
…ヤバい…俺は何を考えているんだ?
…いや、ちょっと待て。
…よーく思い出せ…俺、さっき変なこと思わなかったか?
…い、いや、思い出すな、思い出すんじゃない!!
「…おにいちゃん?」
「な、何かな?」
「あしにかたいのがあたるの」
…何で俺の股間が固くなってるんだよ?!
「これなぁに?」
「待て、拓海!触るんじゃ…うっ…」
「わっ!おっきくなった!!」
「………」
「どうして?なんで?おにいちゃーん、これなぁに??」
さすさす。
人には決して言えない箇所を、無邪気に触られ続ける涼介は、ひとしきり地獄のような苦難の時間を味わい続けた。
…俺、ヤバいかも…。
高橋涼介。
この時はじめて、自分がおかしい事に彼は気付いた。
-変態値-
高橋涼介 ★★★★★★☆☆☆☆ 【そろそろ】
back
top
next