涼介さんはムッツリだ。
けれど、そんな涼介さんに何だかんだ言いながら付き合えてる俺もまたムッツリなのかも知れない。
不本意だけど、ベッドのある部屋以外でのHも慣れた。
屋外ってのもそれなりに数をこなした。
けど、こんな明るくてやたらと広い学校ってテリトリーの中では初めてのこと。
「…緊張してる?」
涼介さんが俺の首筋を唇でなぞりながら囁いた。
俺はぎこちなく頷く。
鍵をかけても、いつ誰が入ってくるのかが怖くてどうしてもこの行為に集中できない。
「大丈夫だ。いざとなったら俺が助けるから」
……信憑性ねぇよ。
ぎこちない俺と違って、涼介さんは上機嫌。
音を立てて幾つも俺の首筋にキスを落とす。
「それとも、拓海が集中できないのはあの女のせい?」
「女…?」
ああ、だんだんウズウズしてきた。
胸の先が尖り、下腹部に熱いものが溜まりだしてくる。
「女って……茂木?」
茂木の名前を出したとたん、涼介さんがカプリと俺の首を噛んだ。
もちろん痛くないけど、ジンとした痺れが全身に走った。
「あの女にくっつかれて、ずいぶん嬉しそうにしてたからな」
…あ、バレてた。
仕方ないだろ?俺は別にホモってわけじゃないし、普通に女の子が好きだったんだから。
豊かな胸の感触を感じれば、どうしてもドキドキしてしまう。
けど、さ…。
「どうせ俺は巨根にはなれても、巨乳にはなれないからな」
巨根って、アンタ…ま、確かに涼介さんのはデカいと思うけど。
俺の緊張が一気に消える。
俺を狭い机の上の押し倒し、上から圧し掛かるこの大きな男が本当にかわいくて仕方なくなる。
すごい年上でしっかりした人なのに、たまに見せるこの可愛げが俺を惹きつけてやまない。
俺は涼介さんの頬を両手で包んだ。
目を見て、そして微笑む。
「女の子の胸や足にはそりゃドキドキするけど…」
あ、ムッとすんなよ。話は最後まで聞けって。
「こんなに頭に血が昇ったみたいに熱くなるのは…涼介さんだけにだよ」
…単純。
一気に涼介さんはニコニコ。
エロい顔で俺の首筋を舐め、そして学ランのボタンを外しはだけさせ、その下の白い開襟シャツの上から尖った乳首を摘んだ。
何で…そんな刺激だけでイきそうなんだよ、俺。
そんなところが感じるだなんて、涼介さんと知り合う前は夢にも思わなかった。
この人にさんざんそこを弄られ、舐められ、今ではいつでもスタンバイみたいにプックリ赤く腫れている。
何だか悔しくて、涼介さんの髪を掴んで引っ張った。
「……クソ、責任…取れよな」
涼介さんはクスッと笑って、そしてジンジンする俺の尖りをシャツの上からザラリと舐めた。
「当たり前だろ?」
チュウ、と吸い付いて、軽く噛む。
刺激より何より、俺のを嬲るそのエロい顔と舌の動きにヤられる。
「お前の身体は全部俺のものだ。一生かけて面倒見てやるよ」
エロっ!エロすぎんだ、あんた!
片方の乳首を指で弄り、もう片方の乳首が舌で嬲られる。
服の上だからこそ伝わるもどかしい刺激に、俺は酸欠の金魚みたいに口をパクパクさせるのがやっとだ。
「見ろよ拓海。服の上からでもお前の乳首の色が丸分かりだ。ピンクに染まって…こんなに尖らせて…」
「あ、あぁ…っ!」
乳輪をなぞる舌の動きに、思わず甲高い声が上がる。
ヤベェ…本当にここって防音なのか?
たかが胸だけを弄られてるってのに、もう下腹部に溜まった熱は破裂しそうだ。
もどかしくて、俺は自分で涼介さんの腰に自分のソコを擦り付けた。
「…涼介さん…お願い…!」
なのに涼介さんはフッと笑うだけでそこを弄ってくれない。
「乳首だけでイけよ。……見たい」
ふざけんな、この…!
抵抗したくても、もう俺の全身はヘロヘロだ。
ピチャピチャと俺の胸をシャツの上から舐める涼介さんに、視覚だけではなく聴覚までやられ、だんだん頭がぼうっとしてくる。
「イけよ、拓海。このパンツの中、グショグショにしちまえ」
何つーことを…このエロオヤジ!!
けれど、俺の憤る心とは裏腹に、そんな卑猥な涼介さんの言葉が俺のリミッターを切る。
キュ、と噛まれた瞬間、堰が切れたように溢れた。
「あ、んぁ……ぅ」
頭が真っ白になる。
身体が自分の意思とは無関係に痙攣し、全身がまるでフワフワと浮いたような心地になった。
津波のような衝動。
それが収まったころに、うっすら目を開くと、俺を食らい尽くしたいくらいの表情で見つめる涼介さんがいた。
余裕のない獣の顔。
やさしさの欠片もなく、本能だけが丸出しになっている。
突かれる喜びを知った身体が、ズクンと内部から疼く。
この人の凶暴な獣のような部分に突き刺されたいと体中が叫ぶ。
こんな時、ああ、まるで自分は女になったみたいだと自己嫌悪に陥る。
正直、俺はもう女相手のHでは満足できないだろう。
後ろの快楽を知ってしまった今では、生半可な刺激ではイけそうにもない。
もう、何も知らなかった頃には戻れない。
身体全部を作り変えられてしまった。この人に。
後悔するときもあるし、怖いときもある。
でも、どうしてだろう?
この人のことを突き放したり、嫌いになるって選択肢は、俺の中には一つもないのだ。
逆に、こんな身体でこの人が満足してくれるなら女になってもいいかとさえ思っている。
涼介さんが俺のズボンのファスナーを下ろし、下半身をむき出しにする。
中で漏らした精液が、ネトリと布地にくっつき気持ち悪い。
現れた、ベットリと濡れたその先端に涼介さんが爪を立てる。
鈴口からまたプクリと先走りが溢れた。
「拓海のココは素直だな」
フッ、と涼介さんがまた硬くなったそこに息を吹きかける。
それだけの仕草で、俺のそこはビクビク震えた。
もうここが学校だとか、教室だとか、明るいだなんて事は一切頭から消えた。
「…舐めて欲しい?」
欲しい。
もう理性なんて知るもんか。
常識なんざクソくらえだ。
この人が欲しくて欲しくて仕方がない。
俺は不安定な机の上で、必死に腰を揺らめかせた。
自ら大きく足を開き、涼介さんを誘う。
「欲し…欲しいよ、涼介さん。はやく…早く、して…」
涙目で訴える。
堪え性の無い身体は、刺激を欲しがり自らの手で敏感な部分を擦った。
片手で前を弄り、もう片手で涼介さんに性器に変えられた部分を寛げた。
「悪戯な指だな…。ふぅん、でも、そうだな…」
「あ…何…?」
涼介さんがスッと俺の身体の上から離れる。
そして机とセットになっていた椅子を引き、そこに腰掛けた。
するとちょうど涼介さんの顔前に、俺の浅ましく液を漏らすそこが来ることになった。
涼介さんが広げた俺の両足の膝裏を掴み持ち上げる。
ぐい、と腰部分が机から浮くくらいに抱えられ、思わず落ちそうになって慌てて机の脚の部分を掴み身体を支えた。
まるで、でんぐり返しの途中のような格好。
涼介さんの目の前に俺の尻の狭間。
自分でもまともに見たことが無い無防備なその場所に、涼介さんの視線を痛いほどに感じる。
「お前のここ…いつ見てもゾクゾクするぜ。こんな小さいのに、俺のを飲み込んでもっともっとって欲しがるんだよな…」
ふぅ、と息が吹きかけられる。
キュう、と蕾が窄まった。
「ここをさ、こんな風にもう閉じなくなるくらいにドロドロに広げて、俺の形に合うように作り変えたいぜ。いつでも…俺のが入れられるようにな」
胸が、ズキンと痛んだ。
「…そんなの…俺…涼介さんのHの道具みたいだ…」
ハァ、と涼介さんの溜息が聞こえる。
俺の太ももに頬ずりしながら、「分かってる」と呟いた。
俺は涼介さんがムッツリだと思っていた。
エロいし、妄想ばかりだし、H好きの変態だとさえ思っていた。
けど…。
「俺はお前をセックスの道具にしたいんだ」
俺を愛してくれてると、そう思っていた。
それが間違いかも知れない。
その事実を突きつけられ、俺は目の前が真っ暗になった。