朝の冷え込みは氷点下を記録すると昨晩の天気予報が語っていた。
まだ夜も明けきらない早朝。
その予報通りに外の気温は痛いほどに冷たく、茶色の土の上に真っ白な霜を降りさせている。
それは暖房の効いた車内でも同じことで、渉は寒さから体を震わせる。
運転席にいる従兄弟の延彦がそんな渉を見つめ、微笑んだ。
「…寒い、渉?」
光の加減のせいか、その眼鏡の奥の瞳の表情は分からない。けれど、渉には長い付き合いから、彼が決して口元のように微笑んでいないことを知る。
「それとも・・・熱い?」
そう言って、むき出しの渉の太ももを撫でる。
きわどい場所をかすり、だが決してそこには触れない。
焦らす指の動きに、渉はアルテッツァのシートで身を捩る。
「う…延彦・・・」
渉が寒いのは、気温のせいだけではない。
今の彼の姿は、身に一枚の服を纏わない裸だ。
エアコンの風が、むき出しの渉の肌に直接当たり鳥肌が立つ。
「…もう少しだから我慢して」
延彦が微笑み、そして手をステアリングへと戻す。
エンジン音だけではない、振動する音が渉の内部に響く。
昨晩から、ずっと嬲られていた後腔の奥を、無機質な感触を伝える玩具が埋め込まれている。
早く…この疼く体内にあの熱い感触のものが欲しかった。
だけど延彦はそんな渉を嬲るように、裸のままの彼を車に乗せ、そしてどこかへと連れ去ろうとしている。
渉と、延彦の関係はもう十年以上前から始まっている。
最初は遊びの延長だった。
渉と延彦は従兄弟同士で、家も近く年齢も同じと言うこともあり、小さい頃から兄弟のように、そして親友として育った。
活発でガキ大将タイプの渉と違い、延彦は内気で気管支が弱く、よく寝込んでばかりいた。
そんな延彦に、渉が率先し、まるで兄のように色んな事を教える。
その関係に狂いが生じたのは、彼らがまだ小学校5年生の頃だった。
『エロ本って見たことあるか?』
学校のクラスメイトたちから仕入れた新しい情報を、渉は自慢げに延彦に語る。
渉の期待通り、延彦は不思議そうな顔で首を横に振った。
『俺はあるぜ。ほら』
と、クラスメイトの兄の持ち物だという本を延彦に見せる。
肌を露にした大人の女性が、子供心にも何かを感じさせるポーズで、撮られている数々の写真。
それを二人で見ているうちに、先に渉に変化が来た。
泣きそうな表情で、膨れてしまった自分の下半身を見つめる。
『…延彦、どうしよう?俺、病気になっちまったのかな』
『違うよ、渉。それは病気じゃないよ。男はね、みんな大人になったらそんなふうにチンチンが大きくなるんだって』
『病気じゃ…ないのか?』
『うん。オナニーって聞いたことある?』
『…うん。みんなが言ってたけど、何の事かわかんなかった』
『そうなった時に、こすってセイエキってのを出すんだ。そしたら元に戻るよ』
『どう…やるんだ』
おずおずと渉はズボンを脱ぎ、小さいながらも立ち上がりかけている自身の恥部を延彦に見せる。
『こうだよ』
延彦がそこに指を這わ擦り上げる。すぐに限界は来て透明に近い白い粘液上のものが、渉のそこから発射された。
『…変なおしっこ…出た…』
『おしっこじゃないよ。これがセイエキ。みんな出るんだよ。変じゃない』
『…延彦も?』
『ああ。ほら…僕も大きくなってるだろう?』
『うん』
下半身をむき出しにしたまま、渉もまた延彦の股間に手を伸ばす。
『…ああ、気持ちいい…渉…』
擦るたびに、延彦が快感に腰を捩り、切なげに顔を歪める。ゴクリと、渉は唾を飲み込み、延彦の手を自分の股間に導く。
『…また、おっきくなってきた。こすって』
『…ン…渉…』
『…何?』
『口で…舐めてみようか?』
手から、口へ。そして通常はそんな目的で使用されない秘部への挿入と、行為はエスカレートし、十年以上の月日が経った今、二人の関係は刺激を求め、どんどん遊びの枠を超えている。
幼い頃に覚えた、貪欲な快楽への欲求そのままに。
ハァハァと荒く小刻みな呼吸を繰り返しながら、渉は閉じていた目を開ける。
いつの間にか車が止まり、住宅街から少し外れた公園の駐車場に止まっていた。
「…着いたよ」
前方へ向けていた視線を、延彦は渉へ向ける。ニコリと、優しげに微笑まれたその表情に、渉は延彦が自分に新たな「遊び」を仕掛けようとしていることを知る。
後部座席へと手を伸ばした延彦の手に、見慣れないものがある。
ジャラ、と音がするそれは、鎖と、そして首輪。
「渉のために用意したんだ」
大型犬用のそれを、延彦は渉の首に嵌め、そして裸に、首輪を付けた渉を車外へと降ろす。
靴も履かない素足に、冷えた路面の冷たさが厳しい。
身動ぎ、呻く渉に、ローターを入れたままの尻を延彦が鎖で叩く。
「ほら。犬は二本足で立たない」
ビシリ、と走った痛みに、渉は思わず身を屈め、計らずも延彦の言いつけ通りに蹲った。
「・・・イイ子だ」
そんな渉に、延彦は頬を優しく撫で、そして彼の首輪に鎖を付ける。
「お散歩だよ、渉。…嬉しいかい?」
昔は、遊びの率先者は渉だった。
けれど今は、この「遊び」に関しては特に、延彦が渉を翻弄する。
これが彼の新しい遊び。
ならば、渉はそれを受け入れるのは常だ。
「・・・・・・ワン」
犬と言うのならば、きっと言葉を喋るのも駄目なのだろう。そう思って答えた言葉は、延彦の機嫌を良くした。
「…渉は本当に賢い子だな。ご褒美をあげるよ」
そう言い、延彦は渉の後腔から伸びたコードを引っ張り、ローターを取り出す。
そして代わりに入れたのは、長く太い男性器を模ったバイブレーターだった。
ズブリと無造作に突っ込まれ、渉は思わず呻く。
「ぅん、ぅあぁ…」
低い男の声とは言え、快感に艶を帯びた甲高い嬌声は静かな早朝にはよく響く。
延彦が口に指を当て、渉を叱る。
「・・・シッ。近所迷惑になるだろう?鳴いたら駄目だよ。渉は賢いから…判ってるよね?」
それとも・・・こんな姿を見られたいんだ?
意地悪く囁かれ、必死の思いで渉は首を横に振る。
「じゃ、大人しくできるね」
微笑みかける延彦に、何度も首を縦に振った。
「さぁ、お散歩だ」
四つん這いで、うっすら霜の降りた白い土の上を素足で歩かされる。
ジンジンとむき出しの肌や、霜に触れている手足の先が冷たさに凍え、痛みを感じた。
けれど体の内部、奥深くからは留めようもないほどの熱く、激しい熱が溢れてくる。
「…楽しいかい、渉?」
飼い主となった延彦が、渉の頭を撫で見下ろす。渉はその延彦を潤んだ瞳で見上げる。
「ああ、楽しいんだね。渉は本当に素直で助かるよ」
にっこりと笑みを刻んだその唇は、そう言いながら、鎖を持つ手とは反対の手に持ったリモコンのスイッチを押す。
途端、渉の内部の異物が激しい振動を繰り返す。
渉は動きを止め、呻きながらその刺激に耐えた。
「ぅあっ、ぁあぅ…ぐぅ…!」
「こら、五月蝿いぞ」
また、ビシリと今度は平手で尻を叩かれる。
痛みさえ快楽に感じる。そんな体にしたのは延彦だ。
刺激に、霜の降りた地面に白い粘液がパタパタと零れ落ちる。
「・・・ふぅん。今度はお漏らしか?渉は行儀が悪いね」
冷たい響きの声音に、おそるおそる渉は飼い主を見上げる。その眼鏡の奥の瞳は冷たく渉を見据えていた。
「お仕置きだよ。ここで少し反省しなさい」
そう言い、延彦は渉を繋いだ鎖を公園の中央に据えられたジャングルジムに結びつける。
ジャラジャラと言う音に、渉は首を振り延彦の慈悲を求めた。
「い、やだ、延彦…頼む…」
けれど彼の返事はそっけない。
「駄目だよ。これはお仕置きなんだから。それに…」
そしてジャングルジムに結び付けられ、犬のように蹲る渉の前に跪き、寒さに萎えてしまったペニスを掴む。
「…犬なんだから、言葉は喋らない」
ぎゅ、っと強い力でそれを握る。
「あ、ぐぁ……」
痛みに、呻きではない悲鳴を上げる。
そして恐怖に、寒さにより膨れ上がっていた膀胱への抑制が緩み、堪えていた尿意が解き放たれる。
バシャバシャと、湯気を立てながら黄色っぽい液体が延彦の手と、そして霜の降りた地面を濡らす。
一度解き放たれた衝動は再び抑えることが難しく、渉は恥辱に肌をほてらせながらタンクの中身を空っぽになるまで出し続けた。
延彦が汚れた自分の手を見つめ、舌打ちをする。
「…悪い子だな、渉は」
ぞっとするほどの冷たい声音に、渉は支配者となった信彦を見上げる。
眼鏡の奥の瞳は冷たく厳しい。
濡れた手を渉の顔に擦り付ける。顔が汚濁に塗れ、屈辱と、不興を買ったことへの恐怖ばかりが渉の心を支配する。
「イイ子になるまでここにいるんだ。いいね?」
否、の無い言葉。汚れた指をハンカチで拭い、そして汚れたそれを無造作に捨てる。
「じゃあね、渉」
そして本当に渉を置き去り、公園を後にした。
渉はその後姿を呆然と見つめながら、本当の犬のように涎を垂らし、後ろの刺激と前に加えられた痛みを押し殺す。
昔は自分よりも小さくて、体も弱くて大人しかった延彦。
けれど時は過ぎ、背は自分と同じくらいに伸び、そして穏やかだった性格は、今では冷たい笑みが似合うまでに成長した。
延彦は渉を跪かせ、支配することに喜びを感じているらしいということに気づいたのは、彼に初めて後ろを犯された中学の時の事だった。
『良いザマだな、渉…。いつも威張ってるお前が、女みたいに喘いでいる姿…他の奴らにも見せてやりたいよ』
うっとりと、渉の項に舌を這わせながら囁く延彦に、渉が感じたのは倒錯的な快感だった。
普段の渉は、威圧的ではないが男らしいと評され、男気を見込まれ頼りにされることも多い。
けれどそんな渉が、延彦の前では無力で、そして哀れな犬と化す。
虐げられ、延彦に支配され、女のように後ろを穿たれ喘がされる。
それに堪らない快感を覚えたのは…きっとあの延彦と擦りあったあの最初の瞬間からだ。
ブルブルと激しく奥でバイブが震える。
四つん這いになりながら、腰だけを高く上に上げる。尻からはみ出したバイブの付け根の部分が、本当に短い犬の尻尾のように突き出ている。
ゆらゆらと腰を揺らめかせ快感をやり過ごす。ダラダラと口からは涎が溢れ、痛みと寒さに萎えていた前も、再び勢いを取り戻し、先からは滴を垂らしている。
早朝とは言え、住宅街に近い公園だ。いつ何時、それこそ犬の散歩にでも出かけた人の目に留まるか知れない。
空は暁から、どんどん行為とは裏腹の爽やかな青へと変化し始めている。薄暗かった空の明かりも、今は隠しようもないほどに如実に渉の今の姿を照らしている。
きっと遠目からでも、自分がどんな姿でいるか…判る。
ハァハァと荒い呼吸を繰り返し、渉は延彦を求めた。
早く助けて欲しい。この苦痛から。この快楽から。
遠くで響く犬の鳴き声に過剰に反応し、ジャングルジムに寄りかかる。冷えた鉄筋の感触に、また身が縮こまるが、渉の中の熱を消すことは無い。
「あ、あああ…の、のぶ…延彦ぉ…」
地面にペタリと座り込み、足を開いてそろそろと指を股間へ導く。
肌に感じる寒さとは違い、隆起したそこは熱く、固い。
ゆっくりと、上下に擦る。ジンと腰が痺れ、脳天にまで届く快感を伝える。
「ん、ふぅ…ぅうん…」
ゆっくりだった手の動きが激しくなる。
同時に、反対の手で後ろに挟まった異物を握り左右に揺らす。ブルブルと震えるそれを少し動かすだけで、渉のそこはグチャグチャと濡れた音を漏らした。
こんな朝の、公共の場で暗闇の中でしかしたことのない行為に勤しむ。
誰かに見られるかも知れない。
今にも、そこの角から人が歩いてくるかも知れない。
そんな恐怖はだが、渉の快楽を煽った。
このスリルは峠を攻めているときと似ている。
ギリギリのポテンシャルで、細い糸を手繰るようにコーナーを攻める。一瞬の集中力の途切れが破滅を導く。
「あ、あぁぁ……」
身を捩り、腰を振り、刺激する手は絶え間なく動き続ける。
耐える表情だったそれに、うっすらと笑みが履かれる。
ペロリと涎に濡れた唇を舌で濡らし、宙を見つめながら快楽だけを追い求める。
けれど。
不意に静かな公園内に、けたたましい電話の着信音が響いた。
一瞬で、興奮は冷め、体内の熱は凍りつき、まるで固まったかのように渉は動けなくなった。
ざく。ざく。
誰かが霜を踏みしめ、歩いてくる音がする。
全身に冷や汗が浮き出る。クラッシュする寸前の、あの時よりも長く、そしてゆったりと時間は進む。
まるで断頭台に引き連れられていく罪人のように、固まったまま渉はその時を待った。
パシャ、とシャッター音が響き、渉は今の自分の姿をカメラに撮られた事を知る。おそるおそる視線を音の方へ向ければ、携帯を構え、冷たく微笑む飼い主の姿があった。
撮った写真を満足そうに眺め、パチン、と、携帯のフリップを閉じる。
「お仕置きのはずが…随分気持ち良さそうじゃないか」
その声に、一瞬で強張っていた血液が全身に巡る。
カッと熱が蘇り、渉の中にまた熱を点す。
「本当に渉はスキモノだね。こんな状況でもサカれるなんて…」
まるで獣並だ。
嘲笑う延彦の顔が、目の前に見える。詰られているのに、その姿に例えようも無いほどの安堵を覚える。
「の、延彦……」
喜びに、顔が綻ぶ。
その渉の表情に、冷淡だった延彦の顔に変化が生じる。
「……だけど…俺はそんなお前が嫌いじゃない」
延彦の笑みが消える。
渉は知っている。
微笑みながら言う延彦の言葉は嘘が多い。
けれど、笑みのない言葉には…真実が多い。
そして長年の付き合いから、渉はそれが延彦の本心である事を悟る。
思わず、ポロリと快感に浮かんでいた目尻の涙が零れ落ちる。
「…チッ」
さぞ不本意そうに、真剣な表情の延彦が渉の顎を掴み、そして貪るような口付けを降らす。
喜びに、渉の中の快楽に貪欲な獣が暴れ狂う。
舌を絡め、唾液を交し合い、互いのそれを飲み込んだ。
「…お前がこのまま…本当に俺の犬のままだったら良かったのに…」
不穏な表情と、そして言葉。けれどそれが渉にとって、どんな愛の言葉よりも深く突き刺さる。
「…犬…犬にしてくれ、延彦…ずっと、俺を…」
言いながら、凍えた指で延彦の股間に触れる。もう固くなり始めているそこを服の上から刺激し、そっとなぞる様にジッパーを引き降ろす。
「これ…これが欲しい…早く、俺にこれをくれ…!」
掴み出した熱の塊を、指で刺激しさらに固くさせる。
もう十分なほどにそそり立ったそれを、ジャラと鎖の音を響かせ、体制を変え後ろを向く。
そして延彦の前に尻を向けた状態で四つん這いになり、両方の手で自身の尻を掴み、左右に開いた。
ブルブルと震えながら尻を刺激していたバイブが、その渉の動きによりどんどん奥から押し出されてくる。
「…ん、ふぅ…、ぁあぅ…」
ボトリ、と地面の上に落下したバイブは、けれど振動を続けているため地面の上でものた打ち回っている。
その様に、渉は今の己の心境を見る。
浅ましく、快感のためだけに動き続ける玩具のような存在。
「…欲しい?俺が…」
背後で、ゴクリと延彦が唾を飲み込む音が聞こえた。
期待に、渉もまた唾を飲み込む。
「…欲し、い、…早く、延彦ぉ!」
尻を振り、彼を誘う。
パクパクと収縮を繰り返す後腔に、ヒタリと熱く固い熱が当てられるのを感じた。
自ら、誘い込むように粘膜を扇動させる。
「・・・凄い・・・自分から飲み込んでいくよ…」
掠れた、延彦の声に喜びが増す。
「もっと…奥まで…早く…」
「焦るなよ。大丈夫。ちゃんとたっぷりあげるからね」
そっと、延彦の繊細な指が渉の乳首を捻り、股間の涎を垂らし続けるそこを握る。
朝で。
人が通りかかるかも知れない公園で。
自分は服一枚纏わない姿で、首輪に鎖を付けた姿のまま、こうやって後ろに男を銜え込んでいる。
異常な光景だ。
ほのぼのとした、子供用の遊具が建ち並ぶ中、欲望に忠実に腰を振っている。
だが、その異常さが堪らない。
ギリギリの神経が焼き切れそうなバトルのように、渉をこの「遊び」に夢中にさせる。
「…のぶ…延彦…」
顔を背後に振り向かせ、舌を伸ばし彼を求める。
自分と同じ、快楽に狂った表情で、延彦はニンマリと微笑み、その求めに応じた。
きっと…延彦も。
渉と同じように、この「遊び」に嵌まり込んでいる。もう抜け出せないほど。
「…渉」
唇を離した延彦が、互いの唇から唾液の滴を垂らしつつ囁いた。
「後で…俺の尻にもお前のこれ…突っ込んでくれよ」
入れられるのは好きだ。
だが、入れるのも好き。
延彦も、渉も。
「いいぜ、延彦」
腰を揺らめかせ、延彦の剛直を味わいながら、自身の昂ぶったソレを延彦の中に沈める事を想像する。
熱く、蕩けるような延彦の中を、乱暴なぐらいにかき回す。
いつも澄ましたこの顔が、快楽に歪み涙で潤む。
「お前に突っ込んで…グチャグチャに掻き回してやる…」
だから…、と溜息とともに渉は言った。
「お前のソレで俺を、グチャグチャに蕩けるぐらいに掻き回してくれ」
場所を変え暖かい室内で。
大きな広いベッドの上で二人、生まれたままの姿で絡み合う。
寝そべる渉の上に延彦が乗り、渉の欲望を身の内に入れながら腰を揺らめかせている。
「ぅん、あぁ、渉…」
二人の間に、粘液が絡み合う音が響く。
それと同時に、渉の後ろに埋め込まれたバイブのモーター音も響いている。
後ろと前と、同時に刺激され、渉は快楽に舌なめずりをしながら微笑んだ。
「…なぁ」
「…うん?何だ」
「俺たちの関係って…何だと思う?」
渉の上で、自らを突き刺しながら延彦が笑う。
「従兄弟だろ?」
「それだけか?」
クスクスと延彦が婀娜っぽく笑う。
「幼馴染で、親友で…それに…」
身を屈め、顔を近づける。
「恋人だ」
舌を伸ばし、唇を舐める。
渉は腕を持ち上げ、覆いかぶさるその体を抱きしめた。