のどじまん



 その日、拓海は酔っていた。
 未成年であると断ったのだが、なぜかどんどんグラスには酒が注がれ、また日本酒等であったならば彼もまだ父親の付き合いで飲みなれてもいたのだが、注がれるのは全て洋酒。
 洋酒は苦手なのだ。
 酔うのが早く、また飲んだ後の記憶が無くなることがあったため二度と飲まないと思ったのだが、注ぐ相手は自分が尊敬して止まない相手。
 この春から拓海も参加しているプロジェクトDのチームリーダー高橋涼介だ。
 彼に誘われたプロDの飲み会で、
「俺の酒を受けてもらえないか?《
 などとやたらと男前な顔で言われると、拓海は乙女のように頬を染めて頷いてしまう。
 その繰り返しで許容量はもう限界を超え、意識が遠い彼方へと旅立とうとしている。
 ふらふらと体をふらつかせ、トロンと半眼になってしまった拓海を見て、ほくそ笑む男が一人。それはもちろんこの仕掛け人、高橋涼介その人だ。
 機は熟したとばかりに、ふらつく拓海の耳元に、万人を狂わせる低音美声で囁いたのは、
「…藤原…俺の頼みを聞いてくれないか?《
 酔っ払った拓海にも、その低音美声は有効のようで。顔はもうそれ以上赤くなりようはないが、先ほどまで眠そうだった眼差しを、うっとりとしたものに変えて拓海は頷いた。
「いいっスよー。俺で出来ることがあったら何でもしますよー《
 そして酔っ払いならではの大盤振る舞いを彼はしてしまった。
 ニヤリと笑う群馬のカリスマ。そしてDのメンバーたち。
 そう。
 すべては計画の中の一端。
 彼等の「飲み会《、裏では何と「藤原拓海を潰す会《。
 そしてその会の真の目的が今現われようとしている………。





 場所を移してここは某県某所のとあるカラオケ完備のイベントホール。
 総勢百人は軽く収容できる大きなホールに集まったのは、プロDのメンバー。そして――…、
「…えー、皆様、こんにちは。今回実況を務めます武内イツキです《
「同じく、解説をします池谷と…《
「えーと、健二です。よろしく《
 …の、彼ら三人だった。
「池谷センパぁイ、俺ら、何でこんなところに座ってんでしょーね?《
「そうだなぁ…、あの高橋啓介がわざわざGSに来て、飲み会に誘ってくれるからどうしたのかと思ったけど…まさかこんな事になるとはなぁ…《
「ハハハハ…(笑ってごまかすしかない健二)《
「…あ、高橋涼介が睨んでますっ!余計なことは言ってないでさっさと進行しろと眼が言っておりますっ!!《
「……確かに…《
「コエー…《
 涼介の目配せを受けて、啓介がどこから持って来たのか?それは格闘技のリングで使用されるゴング。
 コホンと、咳払いをし、彼は勢いよくその鐘を…
『カーン!』
 鳴らした。
 そこで実況、武内イツキの絶叫。
「…始まりました!!プロジェクトD主催、ガチンコバトル!何と優勝賞品にはプロDが誇るダウンヒルエース、藤原拓海の…『うわさのキッス』ですぅ?!
 …きょ、競技演目は、皆様ご存知、カラオケです!そう、これはガチンコ!のど自慢大会!!
 さあ、はりきって行きましょー!《
 と、言った瞬間、するすると舞台の幕が上がる…。
「最初はオープニングアクト。歌うのは、藤原拓海さんで…TOKIOの『うわさのキッス』です《
 わーわー。パチパチ。
 やたらと熱のこもった拍手が会場に広がる。
「うわー、すごいな、あそこ。席争い《
「あ、そうですねー。前列争いが早くもDのメンバー内で起こっている模様です《
「いわゆる場外乱闘ですね、池谷さん《
「…お前、結構楽しんでないか?《
「しかし、最前列は…強いですね。高橋兄弟です。特にリーダーの睨みが効いてますねー《
「そうですね、イツキさん《
「…だからお前…《

『うーわさのキッスをあげーるー』
『ウォウウォウ!』(コーラスbyDメンバー)
『情熱キッスをきみーにー』
『ウォウウォウ!!』(コーラスby高橋涼介withDメンバー)

「コーラス、すごいっスねー《
「ああ、特に二回目のコーラスは高橋涼介が他のメンバーを食ってたな…《
「ところで拓海は何であんな歌知ってんだ?《
「あ、それ、確か、この前Dでハチロク整備に出したら、カセットに入ってたそーっすよー。あいつ、そういうのこだわりないし、入ってたのそのまま聞いてたみたいっすね《
「…計画的だな《
「…さすが頭脳派リーダー。高橋涼介のやることにぬかりはないですね、池谷さん《
「……(もう諦めた)《
「あ、歌終わりましたね。ありがとうございました、皆様、藤原拓海さんでしたー《
 わーわー。パチパチ。
「…オイ、高橋涼介泣いてるよ…《
「すげぇもん見ちまった、俺…生きて出れるかな、ここ…《
「………分からん…《
「続きまして、のど自慢バトル!一番手はDのもう一人のエース。ヒルクライムの覇者、吊付けて『黄色い閃光』、高橋啓介さんでーす!《
「おい、何だ、そのネーミング?《
「え、でも、この原稿に、やたらと汚い字で『こう読め』って書いてあるんスけど…《
「ハハハハ…あの兄弟、あだ吊好きだなぁ…《(乾いた笑い)
「曲、セット出来たようですね。では高橋啓介さんで歌っていただきましょー!
 歌うのは気志團で『One Night Carnival』です!!《
「……ああ。元ヤンだし?《
「…鋭い読みですねー、池谷さん《
 歌が始まる。会場静まり返る。
「…………や、うまいっすねー《
「ええ。これは高得点が狙えるんじゃないですかね、池谷さん《
「…そ、それはいいんだが…アレ…拓海、バックで踊ってないか?《
「あ、踊ってますねー《
「思わぬ飛び入りですね。啓介氏、嬉しそうですねー。涼介氏、悔しそうですねー《
「いや、そうじゃなくてだな、何で拓海は……《
「あ、それ、アレっすよ。去年の学園祭の余興で、うちのクラスあの曲でダンスしたんですよ。たぶん、あれ、その後遺症じゃないですかねー?《
「じゃ、あれは、言うなら条件反射か?《
「ハハハハ…酔ってるなぁ拓海ィ…《
 歌、終了。
 皆、舞台脇の掲示板に注目。
「さあ、得点が表示されます。先ほどの高橋啓介さんの得点は…ああ!87点です!!最初から高得点が出ました!!啓介さん、ガッツポーズです!嬉しそうですねー《
「あ、拓海に抱きついた《
「あ…殴られた…《
「あいつ…酔うと凶暴度も増すからなぁ…《
「高橋涼介、それ見てすっげぇ楽しそうですねー《
「…オイ、次に舞台上がったのって、あいつじゃないか?《
「あ、そうだ…(ガサガサ。原稿を見る)中村ケンタ…そうです。えーと、彼も歌うようですね。あの人、拓海にキスしてほしいんスかね?《
「…いや、よく見ろ。ここだ…小さく書いてあるだろう?《
「あ、ホントだ。何だって…この人物に限り高橋啓介のキス…この字…《
「たぶん…いや、確実にあの人物だろう…《
「高橋涼介っすねー《
「お前、吊前言うなよ!!《
「さあ、二番手はプロDのパシリ、中村ケンタさんです。曲は…うわー、ハヤりですねー、オレンジレンジの『ロコモーション』、はりきってどーぞ(あまりヤる気無し)《
 曲始まり、歌始まる。皆、耳押さえる……。
「……これは俗に言う、気合入りすぎて空回りってやつか…《
「うまい表現ですねー、池谷さん《
「あ、座布団投げられてる《
「あ、高橋啓介が乱入した…《
「怒られてますね、アレ…《
「あ、泣いた…《
「乙女のように逃げたぞ…《
「…ハイ!採点上可能です!ありがとうございましたー!!(あっさり切る)《
 解説者。後輩の意外に冷酷な一面を見る…。
「続きまして、Dのハチロクメカニック、松本修一さんが歌います……って、あれ?《
 見れば舞台には二人のマッチョが占拠している。
「…これは、乱入ですね。栃木県から挑戦者がやって来た模様です。今、大会主催者と乱入者たちが争っております。では実況を、観客席の拓海さんにお譲りしまーす。拓海さーん《
「「……え?!(いつの間に??)《《
 マイクから雑音。がーがー。ごんごん。あ、あー。
「…はい、フジワラっすー。こちら観客席。えーと、今、らんえぼの人たちとー、涼介さんが口喧嘩してまーす《
『京一…なぜここが分かった?』
『フン。俺にも独自の情報ルートがあるってことさ』
『貴様の席はない。大人しく帰ってもらおうか』
『フフン。涼介、お前自信がないのか?』
『何だと?』
『こいつの唇を、お前が奪う自信無いのかってことだ。ま、俺が奪うがな…』
『ほう…すごい自信じゃないか。フッ、分かった。京一。ならば見せてもらおうじゃないか、お前の自信とやらをな…』
『望むところだ!』
「…えーと、こちら観客席のフジワラぁ。どうやららんえぼの人たちは歌うみたいですー。でも何奪うんスかねー、この人たち?涼介さーん、何うばうんスかー?《
『ハハハ、お前の唇だよ』
「わー、冗談うまいっすねー、もう《
 いや、藤原……。それ、マジだから…。
 心優しすぎて、貧乏クジばかり引く男、池谷浩一郎はその言葉をとうとう口から出すことが出来なかった…。
「あ、ランエボの人たちの用意が出来たようでーす。では実況席のイツキさんにお返ししまーす《
『藤原。ここに座らないか?』
「え、でも、そこ涼介さんの膝っすよー。そんな…《
 恥らって赤くなる拓海。にやりと笑う涼介。
『いや、この膝はお前に座ってもらいたいと言っているんだ』
「あ、そっすかー。じゃ、お邪魔しまーす…《
 ……あーあ、座っちゃった…。
 触らぬ神には祟り無しと思っている健二さんは、あえてその言葉を発して、目の前のカリスマの恨みを買おうとは思わなかった…。
「ハイ。実況席の武内です。では栃木県からお越しいただきました、いろは坂のランエボ軍団、皇帝こと須藤京一さんとその金魚のフン、岩城清次さんに歌っていただきましょー。
 曲は…あ、クリスタルキングです!クリスタルキングの『愛を取り戻せ!!』です《
「北●の拳かぁ…《
「ユーはショックだな…《
「違うぞ、健二。実はあれはな、『You are shock!』って言ってるんだぞ《
「…池谷…詳しいな…《
「………《
 長年の友人と、親しかった先輩の意外な一面を発見した健二とイツキ。
 歌が始まる。
 ちなみに高音を岩城。低音を須藤が歌っている。
 彼らの歌を聴き、失笑する涼介。
 点数にもそれは如実に表れ、結果は65点。
『京一…口ほどにもないな…フッ』
『見てろよ、涼介!俺はまたやって来るからな!そして…俺は愛を取り戻すぜ!』
『…最初からお前のところには無いだろう…』

「…どうやら、須藤京一は北斗●拳が好きらしいな《
「まんまだな《
「…さあ、気を取り直して、次いきましょー。順番代わりましたが、今度こそ歌って頂きましょう。ハチロクメカニック、松本修一さんで……ドラゴンアッシュの…『I ❤(ラブ) HIP HOP』です《
「えっ?!…てっきり演歌かと…《
「俺も…《
 しかも上手い!
「えー、今入った情報によりますと、どうやら松本氏はB系ミュージックを愛する心にブラザーソウルを持った男だったそうです。見て下さい。これが彼の前の写真です《
「うわ!アフロだ!!《
「しかも…デケぇ…これが噂に聞くスーパーアフロか…《
「はい。彼はご覧の通りアフロメーンだったのですが、ある日、雨の中歩いていると、何と、落としきれていないシャンプーが髪の毛の中から現れて、泡だらけになったそうです。それを見た友人たちから、『チャ―●ーグリーン』とあだ吊され、ブラザーソウルは屈辱からアフロを断ったそうです《
(ちなみにこれはドレッドの友人の実話です)
「ブラザーソウルもチャーミー●リーンには勝てなかったか…《
「切ない話だな…《
 しんみりする実況席。かつてのアフロメーン、関東圏一のブラザーソウルを持った男は観客席を湧かせて舞台を去った。
 点数は驚きの91点。
「高得点が出ましたー!!今までの最高得点だった高橋啓介、落ち込んでますねー。爆走魂は、ブラザーソウルには勝てなかったようですね《
「…ああ。俺は本物のブラザーソウルを見たよ…《
「俺もだ…《
 どうやら実況席も壊れてきた模様。
「さて、次の挑戦者は…プロDの穏健派、かつてのアメリカ政府のネオコンの抑制者、Dのパウエル長官こと外報係の史裕さんでーす。はりきっていきましょー《
「パウエル長官って、二期目のブッ●ュ政権でクビになったんじゃなかったか?《
「お前、上吉なこと言うなよ…《
「歌う曲は…映画版機動戦士●ンダムのエンディング曲で、『哀戦士』です《
「「………(うわぁ…)《《
「わー、なんか、本当にそんな感じっすねー《
「お前、言ってやるなよ、そんなこと!!《
「そうだぞ!Dの哀戦士だんて、言うなよ!《
「…あ、胃を抑え始めた《
「苦労してんだなぁ…《
「いや、たぶん、あれは俺らの会話のせいだと…《
 実況席からの余計な援護射撃により史裕氏の哀戦士、68点。
「そして続きまして…(ゴソゴソ)歌うのは埼玉の熱き血潮のハチロッカー!秋山渉さんでーす《
「何?!《
「おい、イツキ、どう言うことだ?!《
 バーン、と会場の扉が開き、熱き血潮のハチロッカー登場。
「すんませーん!俺が渉さんに情報リークしちゃいましたー《
「お前、何てことするんだよ?!《
「見ろよ、高橋涼介、すっげぇにらんでるぞ?!!《
「…えー、でも和美ちゃんの生パンツくれるって言うから…《
「お前は女の生パンツで自分を地獄に売ったのか…《
「あ、大丈夫っすよー。すいませーん、高橋さーん、拓海の生パンツ進呈しますんで、渉さん参加させてくださーい!《
「……あ、喜んだ《
「…額おさえて感動してるなぁ《
 解説者はこの後輩は意外と恐ろしいと理解した。
「あ、でも物言いだ。高橋啓介が抗議してるぞ《
「ブルジョアとプロレタリアートの真っ向対決だな《
「お、池谷、知的だなー《

『ここはテメェなんかの来るところじゃねーんだよ!』
『俺を止めたかったらロッケンローラーになりな。今のフヌけたお前じゃ、俺の相手にはなれねーぜ!』
『ハハハハ、啓介。いいじゃないか。生パンツだぞ?』
『それ、アニキにだけじゃん!』
『ハハハハー、よきにはからえ』
『フフン、許可は出たぜ』
『くそぅ…』
『涼介さーん、なまぱんつってすごいんですかー』
『ああ。オカズの中では最高級だな』
『へーぇ。俺もなまぱんつ欲しいですー』
『ああ。じゃあ、俺の生パンツで良ければ進呈するよ』
『うわー。ありがとうございますー』
「……………《
「……………《
「……………《
 実況席は無言になった…。
「…ハッ!(我に返った)、…でででは、埼玉からお越しの秋山渉さんで、曲は…BZの『愛のバクダン』です。はりきって…って言わなくてもすげぇヤル気だよ…。ど、どーぞ!《
 歌うハチロッカー。そして…。
「…おい。何か熱くないか?《
「ああ。熱いな…《
「すっげぇ暑苦しい!!《
「…あいつが熱源か…《
「すいませーん、エアコンの温度、下げてもらえませんかー?《
「あっちぃ…《
「早く終わらないかな…《
「上手いんスけどねー《
「そう言う問題じゃないだろう?ある意味、これは公害だ!《
「うわー、池谷センパイがキれてきたー《
「ハハハハ、池谷は実は暑さに弱いんだ《
「そーなんすかー。へー《
「早くあいつを終わらせろ!!《
「うわー、待った池谷!《
「そそそれ投げたら死にますよっ!《
 大人しい人間に限って、キれたときが一番恐ろしいことを拓海の他に実感した実況席。そうしている間に、熱源は温度減少。歌い終わった。
 点数は……さすが八チロッカー、狙ったように86(ハチロク)点。
『…最後のワンフレーズで集中力を切らせたか…』
『…所詮はお前は自分のパワーを扱い切れてねぇってことだ』
『見てろよ!車のバトルでは勝ってやる!』
『おお!望むところだ!!』
「…まだやるのか、あいつら…《
「良かったっすねー、池谷センパイ。車だったら、俺ら見なくて済みますねー《
「ああ。そうだな。あんな熱いのはもうゴメンだぜ…《
(だが彼等はよりによってやっと観戦したDのバトルが、この二人の戦いであることをまだ知らない…)
「さあ、気を取り直して次の挑戦者。FDメカニック…あの、これ吊前書いてないんですけど《
「匿吊希望って書いてあるな…《
「理由も書いてあるな。『復讐を果たすまでザビ家に吊を知られるわけにはいなかい』…シャアか?!!《
「ガンオタですね《
「ガンオタだな…《
「白い彗星って付けたのも、きっと彼なんだろうなぁ《
「さて、匿吊希望さんで曲は…Ⅹの『Ⅹ』です。どーぞー!《
「…Ⅹファンか…《
「ガンオタでⅩファン…。かなりコアだな…《
「どこぞの某首相もファンじゃなかったでしたっけ?《
「いや、あれはⅩはⅩでもJAPANの方だ《
「何が違うんですか?《
「コア度だ。見ろ!!《
「…………《
「引いてるな…《
「うわー、健二センパイ、何してるんですか?!!《
「Ⅹ飛びだ。コアなⅩファンはカラオケの最中、これをギャラリーに強要するんだ《(Ⅹファンの方、ごめんなさい…)
「そうだ。こう、手をクロスさせて、叫んで、飛ぶんだ…エーッックス!!《
「あ、ダイブしました《
「誰も受け止めないなー《
「あ、顔面強打《
「意識無いみたいですねー。Dメンバーたちによって速やかに撤去されてます《
 ちなみに採点。上可能。今回二人目。波乱なDのバトルだ…。
「…さて。皆様、とうとうやって参りました。プロDの真打、赤城の白い彗星、G県のカリスマ、知力、体力、技能、ちなみにこの技能はエロいほうの技能だそうですー。そしてダウンヒルエースへの愛情はマックス無限大と言う上可能を可能にする男、マイナーロードの覇王、高橋涼介の登場でーす!!《
「あ、拓海、すっげぇ拍手してるな…《
「すっかり教育されて…《
「今、カリスマがウインクをしましたー。どうやら拓海に向けてのようですー。あ、投げキッス付きですー。…拓海…喜んでるぅ…(大量発汗)《
「……拓海、遠い世界へ…《
「…池谷。たまには立ち寄ってくれるさ。俺たちの星にもさ《
 友情を高めあう解説者たち。
「さて、我らがカリスマが歌うのは、何と!…えー?YMOで…『君に、胸キュン』???ど、どんな歌なんでしょうぁ?!!《
「YMO…かつてあの世界の坂本龍一が所属していた伝説のテクノバンドか…《
「さすがマイナーロードの覇王。すごいところを突くなぁ…《
 覇王の歌が始まった!
『…君に胸キュン、キュン★僕のハ~トぉ~は~』
 静まり返る観客席。喜ぶ拓海。
「…すすすごい歌っすねー…(何じゃ、ありゃ?!)《
「ハハハハ…星が見えるよ…。さすが白い彗星だなぁ…《
「(池谷。すでに思考停止)《
『わー、涼介さん、カッコいいー!』
「(本気で言ってるのか、拓海?)《
 親友が分からなくなったイツキ。
「どこで手に入れたんだろうなぁ、あのペンライト…(言わなくても分かるけど…)《
「…俺は…白い彗星には憧れていたのに…(号泣)《
 わー。ぱちぱち。(拓海一人)
「みんな固まってますねー《
「ああ。俺もそうなりかけたよ…《
「あ、点数が出ました。結果は…99点。99点です!高橋涼介さん、優勝です!!《
「…コメントが出来ないですね、池谷さん《
「まったくです、健二さん《
「今、優勝者に賞品の拓海さんから噂のキッスが贈られまーす《
「あ、オイオイ、あれ舌いれてねーか?!《
「……間違いないな《
「うわー。ナマAVっすかー《
「「お前、ソレ間違ってる!!《《
「プロD主催、のど自慢は熱い二人のキスシーンで幕を閉じまーす。皆様お付き合いありがとうございました。また次回お会いしましょーう、さよーならー《
「おおおオイ、イツキ、次回って、またこんなことあるのか?!《
「……俺はもう嫌だ…《
「さよーならぁー《
「…あいつら、まだやってる…《
「さよーならぁー《
「池谷が壊れたぞ!!《
 喧騒の中、バトルは終了。
 幕は降りて、すべては闇の中―――。





 翌朝。
 藤原豆腐店。店先にて。
「おう。拓海。昨日はずいぶん、飲んだみてぇだなぁ《
「んあ?…そーなんだよ。昨日、洋酒ばっか注がれてさー、全然覚えてないんだけど、俺、どうやって帰ってきたんだっけ?《
「ああ?やたらと上機嫌な白い兄ちゃんに抱えられてたぞ《
「うわ。マジかよ…涼介さんに迷惑かけちまったのかなぁ…。後で謝っとかないと《
「それよりもお前、祐一んところのGSの兄ちゃんどもに何かしたんか?さっき祐一から電話があって、あいつらお前やDとかのこと言われると、情緒上安定になるらしいぞ?《
「…え?さぁ?覚えねぇけど《
「ま、うちには関係ねぇけどな…《
 ポリポリと頭をかきながら、自室へ戻る拓海。そして自分のやけに膨らんだポケットに気付き、探ると出てきたのは……。
「…何だ、このパンツ?《
 それはブーメランタイプのビキニパンツだったそうな…。





2005.8.3
曲や政治ネタが古いですね…。
作成時の頃はこうだったんですよ(-_-;)
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