正しい381のススメ

「はじめの一歩」で宮田×幕乃内
さらにERO
苦手な方はお引き返しを



 瞬発力と持久力。
 その二つを兼ね備えた筋肉は柔らかくしなやかだ。
 けれど驚異的な破壊力を放つ一歩の筋肉は概ね硬い。
 巌のように強靭で、常に撓んだバネのような張り詰めている。
 宮田はその肌に手を滑らせ、見事なものだと感嘆する。
 偏に筋肉と言っても様々だ。
 一歩のそれは、彼独特のものであると言って過言ではないだろう。
 限界までウェイトを絞り、貫通力だけを重視した細い矢のような自分の筋肉とは違う。
 リングの上では憎らしいだけのこの筋肉も、しかしベッドの上では別だ。
 肌の下にみっしりと詰まった肉の感触。
 それに歯を立てると、弾力が宮田の顎を跳ね返す。
「い、痛いよ、宮田くん」
 顔を上げると、酸欠でぶっ倒れそうなくらいに真っ赤な顔の一歩が見える。
 その大きな瞳は涙で潤んでいる。
 宮田はぺろりと舌なめずりをした。
 ――可愛いな。
 宮田は一歩のこのベソをかいたような顔が好きだ。
『あのね、宮田くん。あのね…』
 一生懸命に自分に話しかける姿も好き。
 そして冷たい自分の反応に、飼い主に捨てられた犬のように、ショボンとしている姿が一番好きだ。
 その姿からは、これが国内屈指のパンチを持つ日本王者だなど想像もできないほどの気弱さだ。
「殴られるよりかは痛くねぇだろ」
 宮田は、さらにガブリと一歩の肉に噛み付く。
 プルプルと一歩の強靭な身体が小刻みに震えた。
「そりゃ、殴られるのと比べものにならないけど…でも…う…」
「…何?」
 また、噛む。
「それされると…すごいジンジンして痺れたみたいになっちゃうんだ…」
「どうしたら良い?」と子犬のような潤んだ瞳で宮田を見上げる。
 ――チクショウ!
 宮田は歯噛みした。
 最初からそうだった。
 努力とか、そう言った全てを打ち壊すほどの反則なまでのパンチ力。
 それはこう言う場面でも有効だ。
 ――モロに…来たぜ。
 レバー打ちのように、ズドンと腰に来た。
 諤々と腰が震える。
「おい」
 宮田は無造作に一歩の足を掴み、勢い良く割り広げる。
「入れるぞ」
 言葉と同時に、昂ぶった欲望を狭間に押し付ける。
「え、えええ?!ちょ、宮田くん、待って…!」
 ぐい、と腰を持ち上げられた恥ずかしい姿勢に、一歩の顔から湯気が立ち上りそうなほどに赤くなる。
 ジタバタと暴れるが、宮田とて東洋太平洋王者。
 一歩と同じフィールドで…いや、先を行く者だ。
 傍らにあるジェルを指に付け、情緒もなく一歩の最奥に突き立てる。
「ひ、あ…!」
 電光石火。
 伝家の宝刀であるカウンターをぶち込むように、一歩の呼吸を読み指を突き入れる。
 そしてグリグリと内部をかき回し、ジェルを馴染ませる。
 唐突に指を入れたことで、雄々しくファイティングポーズを取っていた一歩の股間のソレがダウンを見せている。
 けれどある一点を指が掠めた瞬間、カウント8で立ち上がる不屈のボクサーのように立ち上がった。
 ――デケぇな、コイツ。
 宮田の前でファイティングポーズを取るソレは、間近で見ると大きい。
 噂には聞いていたが、平常時でも大きなソレは、興奮時には最大であるヘビー級を上回る。
 ――小さいクセして…ムカつくな。
 奥を弄りながら、もう片手でそれを握ると指が届かない。
 その立派さに呆れるやら感心するやら。
 ――確かに…こんなの入れちまったら壊れるな。
 クス、と宮田は思い出し笑った。
 最初、こんな関係になった時に、一歩の方から言ったのだ。
『えと、ね。宮田くん。鷹村さんとかが言うには、僕のっておっきいみたいで、そんなのお尻に入れたら壊れるぞってよくからかわれたんだ。
 だからね、僕、入れるほうじゃなくって、入れられる方になるよ。宮田くんを壊すわけにはいかないから』
 その発言に、多少なりとも男としてのプライドを刺激された宮田ではあったが、元より入れる方を望んでいた身としては異存は無い。
 まして、こうして目の当たりにした一歩のコレは…決して鷹村の言葉が大げさなものであったとは思えない。
「や、あ…宮田くん、そんなとこ…」
 ゆるく、上下に大きなソレを擦ると一歩の腰が揺らめいた。
 先端からは水漏れした蛇口のようにドクドクと液が溢れ始めている。
 素直な身体。
 内部を弄る指を二本に増やす。
 一歩の長所は素直で勤勉なところだ。
 教えられた全てを素直に吸収する身体と、努力する精神。
 ここでもそれは発揮しているようで、宮田が与える快楽を素直に受け止めている。
「おい、気持ち良いか?」
「わ、かんないよ…でも…どうしよ、すご、身体が熱い…宮田くぅん…」
 グジュリと粘液が滲み出してきた音に、宮田は満足そうに微笑んだ。
 指を三本に増やす。
「感じてきてるんだろ」
「そう、なの?これが感じてるってことなの?…も、もう、ダメ。宮田くん、僕の中、早く入れて!」
 宮田はアウトボクサーだ。
 打っては離れ、相手をジワジワ追い詰める。
 けれどそれと逆に一歩はインファイター。
 積極的に前へ詰め、強引なまでに打つのが戦法のボクサーだ。
 そんなボクシングスタイルが、どうやらこんな場でも現れているようで、ためらいもなく、一瞬で宮田に詰め寄り、間近で拳を固めている。
 そして宮田は、アウトボクサーでありながら、打ち合うのが嫌いではない。
 相手の誘いに、乗るだけの気の強さを持ち合わせている。
「…フッ」
 目を閉じ、そしてまた開く。
「分かった。入れるぞ」
 宮田は己の拳…ではなく、股間を固めた。
 いや、最初からそこは臨戦態勢。
 脇を固め、真っ直ぐに突き出すように一歩の内へ突き入れる。
 ずぐ、と柔らかくなった肉にめりこんでいく。
「ぅあ、あぁ…!」
 一歩の悲鳴が上がった。
「……くぅ」
 宮田もまた呻く。
 カウンターは諸刃の刃。
 タイミングを間違えればすぐさまそれは己に降りかかる。
 今回のこれは、相打ちであったらしい。
 拳は届いた。
 けれど一歩の強靭な大臀筋が宮田を締め付けた。
「お、前…ちゃんと緩めろ!動けねぇだろ!!」
 びっちりと宮田の肉に噛み付く一歩の肉。
 宮田の叫びは切実だ。
 絞り千切られそうな勢いに、さすがの宮田も冷静さが保てない。
 けれど対する一歩も必死だ。
「む、無理だよ〜」
「無理じゃねぇだろ。早く緩めろ!」
「だ、だって、宮田くんなんだよ?あの宮田くんのが僕の中に居るんだよ?嬉しくって身体が勝手に締め付けちゃうんだよ〜!」
 ズドン、とガゼルパンチ。
 下から突き上げてきた鋭いアッパーは、宮田の脳天にまで衝撃を伝え、意識が一瞬遠のく。
「あ、あれ?宮田くん??」
「……ハッ!」
 気が付いた時には果てていた。
 頭の中に試合終了のゴングの音が聞こえる。
 一気に圧迫感を失った一歩の内部から、宮田のダウンしたそれがツルンと抜け出る。
 コプリと、そこから吐き出されたものが溢れてくる様は淫靡なのだが、今の宮田にはそれを楽しむ余裕が無い。
「あ、あの、宮田くん。気にしないで!宮田くんが早くっても僕、全然構わないから!
 僕、宮田くんとのイメージトレーニングは得意なんだよ。だから、シャドゥするみたいに僕、一人で…」
 ピキンと、宮田の闘争本能に火が付いた。
 見かけから、冷静と思われがちだが宮田は短気だ。
 殴り合いも好きで、負けるのが嫌い。
 ――シャドゥ、だと?
 ゆらりと宮田の身体から青い炎が立ち上る。
 と同時にダウンしたそこも再び立ち上がる。
 ――俺が目の前にいるのに、一人でシャドゥだと?!
「え?宮田くん?!」
 宮田は怒りの炎そのままに、一歩の身体をクルンと持ち上げうつぶせにし、四つん這いの姿に変える。
「ふざけんな。誰が1ラウンドで終わると言った。OPBF(東洋太平洋)のタイトルマッチは12回戦だぞ?!ヤるぞ、12ラウンドまで!」
「え、えええ?!12ラウンド?!そんなぁ、僕、スタミナ持たないよ〜」
「持つ!お前、何の為の練習だ!!」
「そ、そうだね…うん、僕、頑張る!」
 よいしょ、とばかりに自ら両の尻たぶを割り広げ、
「いいよ、宮田くん!」
 ぱっくりと開いた隙間に宮田が突き刺す。
 それからは一歩の呼吸を読み、絶妙のカウンターの連続。
「あ、あ…だめ、宮田くぅん、僕、失神はダメなんだって!」
「あ?何言ってんだ。お前のしぶとさは折り紙つきだろ?」
「だって、宮田くんとやる時は一番失神が恐いんだ。せっかく宮田くんとしてるのに、失神しちゃったら全部わかんなくなっちゃう…」
「だったら…お前からも攻めてくればいいじゃねぇか。ほら、こんな風に」
 宮田が一歩の腰を掴み揺らめかせる。
 宮田の攻撃に、朦朧としかけた一歩の脳裏に、今まで積み上げた練習の成果が無意識に現れる。
 揺らめく腰。
 それは八の字を描き宮田に迫り来る。
 夜の…デンプシーロールだ。
「…くっ!」
 宮田は呻いた。
 しかし持ち前の気の強さが一歩の攻撃を喜ぶ。
 ――望むところだ!
 タイミングを合わせ…カウンター。
「あぁ…ん!」
 タイミングを覚えれば、これほどカウンターを取りやすい技は無い。
 リングの上では適わなかったデンプシー破り。
 宮田はベッドの上で果たした。
 2ラウンド目。
 それは宮田が制したが、結局試合は5ラウンドTKO。
 双方のダブルノックダウンで幕を閉じた。
「ぼ、僕、もっと練習するね」
「ああ。俺は指し当たってはスタミナか…」
 彼らの初の戦いは、双方に課題を残し終了した。